山梨の秘湯 赤石温泉

     赤石温泉

玄関先に水車の回る温泉宿は、昭和初期の建物で、如何にも湯治場的なふん囲気である。温泉は赤さび色の鉄鉱泉である。 料理も主人夫婦が、山菜をとり、それを調理するといったあんばいで、きさくな家族的なつき合いが受けているようである。 アルプス前衛の櫛形山の西麓の高台にある緑一色に包まれた一軒宿の環境は、心の静養に最適の場所である。宿が裏庭のように大切に秘めているのが戸川渓谷である。旅館の右側の軒先をかすめるように歩いていくと、戸川にかけられた鉄の遊歩道が続く。谷は深いV字型の渓谷で、ちょっとこわいような神秘さである。 10分ほど渓流沿いに歩くと二段の滝が落ちていた。妙蓮の滝である。 なるほど秘境、秘湯の温泉だなあーと感心するほどの処女地である。マイカーなら中央道を利用すれば簡単だが、列車、路線バスの場合は途中迄なので、旅館とよく打合わせをして訪ねて欲しい。
この宿のご主人が作者の保坂卓さんです

夫婦宿

作詩・作曲 保坂 卓
         

唄 保坂 卓

一、
着飾ることは 好きじゃない
苦労もいとわぬ けなげさよ
細身の身体に 作務衣着て

小走り運ぶ 重ね膳
そんな姿に 詫びながら
今日も秘湯の 灯をともす

二、
仲睦まじい 二人づれ
迎えて想うは いつの日か
一緒に行きたい 湯の宿に
そんな思いで もてなして
送るお客の 後ろ髪
二人のおもい 重ね見る

三、
趣味に費やす 暇もなく 
身体に染み込む 苦労癖
仕事の合間の 手を休め
しばしくつろぎ 時過ごす
そんな姿が 似合う年
花愛でながら 風を聞く