ほそり唄

 唄 森田よし子


尺八 山本 龍・堀内渓童

1 ほそりヤ〜レ初めは 大和の壺坂
  この節直すにゃ ノーサテ
  美濃の谷汲
  おしゃれば誠に ノーサテ
  美濃の谷汲


2 さてもヤ〜レ見事な 花嫁の花笠
  受尾は巻き鶴 ノーサテ
  雌鶴雄鶴で 長く栄ゆる
  おしゃれば誠に ノーサテ
  長く栄ゆる


3 ここのヤ〜レ 家では目出たく
  婚姻なされる
  さてもやさしき ノーサテ
  花嫁御さま
  おしゃれば誠に ノーサテ
  花嫁御さま


4 城のヤ〜レ御門で 今朝見た殿御
  筆がな紙がな 硯墨すり
  絵に描き写して 国の土産に
  おしゃれば ノーサテ
  国の土産に


   

「ほそり唄」は県東南部、南都留郡道志村竹之本の佐藤和夫家に伝わる謡曲で、民謡ではないが大変めずらしい唄でえある。
「ほそり」という曲名の由来は、「声の細い」意とも、この唄のうたい方から「声をほそめてうたう」の意ともいわれている。

歌詞中の壷坂寺は、奈良県高市郡高取町壷坂にあって、西国三十三番のうちの六番
美濃の谷汲寺は三十三番になっているところから、この唄は西国巡礼唄から発生し、その後各地に広まったものと考えられる。

現在では道志村の佐藤家のだけに伝承されており、他の地域では全く滅びてしまった。

歌は2番までしか唄っておりません