西嶋紙漉き唄

唄 望月秀彦
   神宮寺森繁
  笠井太郎

 ア〜
 紙は大切 紙商売はョ
 紙に離れず
 マタホイ エヘヘ オホホ
 紙を漉くョ
 シャリンシャリン


 ア〜
 今朝の一槽ゃ じゃみじゃみ来たが
 次の槽から
 マタホイ エヘヘ オホホ
 とろとろと
 シャリンシャリン


 可愛男に 紙漉きさせてョ
 そばで紙はり
 マタホイ エヘヘ オホホ
 してみたいョ
 シャリンシャリン


 男振りより 紙漉きぶりに
 ほれて来るのが
 マタホイ エヘヘ オホホ
 福の神ョ

 シャリンシャリン


 世辞じゃなけれど あなたの紙は
 お手を叩けば
 マタホイ エヘヘ オホホ

 ぱらぱらとョ
 シャリンシャリン


 紙漉き来た来た 千万人も来たが
 奉書が漉けなきゃ
 マタホイ エヘヘ オホホ
 へちゃむくれョ
 シャリンシャリン

 
この唄は中富町西島地方で紙漉き作業の時に唄われた作業唄
である。詞型は七七七五型。曲節は岡山県下の下津井港を中心として瀬戸内海一体で唄われた「下津井節」に似ている。北前船の船乗りたちによって運ばれたこの曲節が、富士川をさかのぼってもたらされたものと考えられる。

西島や市川大門における製紙がいつ頃から始まったか明らかではない。『甲斐国志』人物部付録第十節によると、西島村では「元亀二年(1571)辛末ヨリ運上ノ事始ル。故ニ印中ニ朱ノ字ヲ刻ム」とあるので、武田時代には既に運上紙がおさめられていたことがわかる。

囃子詞のシャリンシャリンは紙漉き作業の行程で桁の中に簀をかけ、槽水を入れて揺するときに発する音の擬音。
マタホイ エヘヘ オホホは意味不明である。